- 雇用統計ショックでどれだけ下げた?ハイテク株ランキング~米国株 徒然日誌⑯
- 2024年08月18日
今年(2024年)8月初頭に突如市場を襲った「世界同時株安」。日本では「令和のブラックマンデー」、米国では「雇用統計ショック」などと呼ばれ、まさに真夏の夜の悪夢のような株安が連日連夜続きました。
先週からはようやく株価が反発し始めたとはいえ、この「下げが下げを呼ぶ」ような展開はしばらく続き、ハイテク株の比率の高いナスダックにいたっては4週連続でマイナスに沈みました。結果、ハイテク株投資家の筆者も大きな痛手を負った次第です。
そこで今回は、この間どのようなハイテク銘柄がどれだけ下げたのか?いつものようにランキング形式で総括しておきたいと思います。
不定期連載 米国株 徒然日誌⑯”雇用統計ショックでどれだけ下げた?ハイテク株ランキング”早速スタートです。
下落は7月半ばに始まっていた!
まずはこの間、ナスダックがどんな軌道をたどったのか?チャートで確認しておきましょう。
(ナスダック総合=8月16日現在:過去6カ月)
株価の暴落の発端は8月2日発表の7月の雇用統計だったと思われがちですが、チャートを確認すると実は7月半ばにはすでに下げ始ていたことがわかります。
あらためて振り返るとナスダックは今年7月10日に過去最高値を付けていたのですが、そこまでもでき過ぎなくらいに上昇しており、連日で最高値を更新し続けていたことを思い出します。
ところが7月17日に突如反発、下落基調に転換します。そしてそこに追い打ちをかけるように8月2日発表の7月の雇用統計が市場予想を下回り、株価は急落するわけです。
結局、ナスダックは7月10日につけた最高値から、8月7日の直近の最安値までの4週間で、13.1%下落しました。
VIX指数はこの通り…8月上旬に急上昇、その後これまた急速に低下していったことがわかります。
(VIX指数=8月16日現在:過去6カ月)
半導体株のプチバブルが崩壊!?
それではこの間のハイテク株下落ランキングを見てみましょう。期間は2024年7月15日(月)~8月9日(金)のちょうど4週間です。Ta-dah!
いかがでしょう!いやあ~、派手に下げましたね。ぱっと見て驚かされるのが、半導体株が多いことです。下落率ベスト10のうち、なんと8銘柄が半導体株です。
半導体株でないのは、3位のクラウドストライクと9位のテスラくらい。前者のクラウドストライクは7月19日に大規模なシステム障害を起こしたセキュリティソフトウエア会社ですし、後者のテスラはご存じの通り、電気自動車の販売台数が低迷しており、軟調決算発表が続いているわけですから、株価暴落もある意味当たりまえです。
というわけでランキングの上から下までほとんどが、生成AI需要を背景に今年上期をリードしてきた半導体株ばかりでした。
それもそのはず、半導体株だけで構成するフィラデルフィア半導体株指数、いわゆるSOX指数のチャートを見ると、今年上期にぐんぐん上昇し、一転7月半ばを境に急落しています。
要するに半導体株のプチバブルが崩壊したと言って言えなくないのです。なぜプチといえるかというと、その後は早くも半値近くまで指数を戻しているからです。
(フィラデルフィア半導体株指数=8月16日現在:過去6カ月)
相変わら逞しい半導体株!
個別銘柄に触れてみましょう。今回の半導体株の暴落は今年上期に上昇率が高かった銘柄ほど、下落率も高い傾向にありました。アームなどはその典型です。
アームは7月10日に過去最高値を付けていますが、そこまでに年初来ではなんと2.7倍に株価を伸ばしていあました。その意味では今回の暴落で8月7日につけた直近最安値まではまだ42.6%下げただけとも言えます。
しかも8月16日にはわずか9日後にもかかわらずすでに21.7%も戻しています。半導体株はまだまだ逞しく成長中なのです。
(アーム=8月16日現在:過去1年)
すでに昨年から半導体株、いやハイテク株全体をリードし続けているエヌビディアについてもパターンは同じです。
(エヌビディア=過去1年)
エヌビディアも8月7日の直近最高値までに年初来で2.8倍に株価を伸ばしていました。ところが今回の暴落で8月7日の直近の安値までに26.7%しか下落していません。しかもやはりわずか9日後の8月16日には、早くもそこから26.1%も株価を戻しています。素晴らしい!
まとめ
さて、米国株 徒然日誌⑯~雇用統計ショックでどれだけ下げた?ハイテク株ランキング、いかがだったでしょうか?
今回の株価の暴落の主犯はひとえに半導体株だったことがよくわかったのではないでしょうか?
要するにもともと半導体株株相場がいつ調整してもおかしくないほどに過熱していたところに、突然日銀が予想外の利上げを発表。これによって「円キャリー取引」逆回転が起き、日米ともに半導体株が一斉に売られたというわけです。
さらにそれに追い打ちをかけるように7月の雇用統計が景気後退を示唆する内容だったため、半導体株に「売りが売り」、「下げが下げ」をもたらす展開がもたらされた、と言えないでしょうか?
要は一時的なパニックによる過剰反応だったと言えなくもないのです。
それにしても日本が低金利政策を続けている間に、米国の投資家は日本円を借りて米国株や日本株を買いあさっていたということが明らかになり、なんだか皮肉です。
いずれにしても半導体株にとっては今回の暴落がガス抜きとなり、むしろ良かったのではないでしょうか?
筆者も今回、慌てて半導体を売らなくて本当に良かったと、「ほっと」胸を撫で下ろています。
- ヒロミン
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