- 11のセクター分類を確認しよう!~米国株徒然日誌⑤
- 2023年10月15日
こんにちは!! マネー探検隊の米国株投資家、ヒロミンです。
テレビでマーケットニュースを見ていると「本日は一般消費財と生活必需品が上昇した半面、情報技術と通信サービスは下落しましたね」なんてセリフをよく聞きませんか?
この一般消費財や情報技術というのはセクターと呼ばれる業種部類のことですが、どのセクターにどんな銘柄が分類されているのか?具体的に答えられますか?
例えば最近ではマグニフィセント・セブンと呼ばれることが多いアップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタ、エヌビディア、テスラといった銘柄はそれぞれどのセクターでしょうか?
実はヒロミンは、恥ずかしながら投資を始めたばかりの頃はすべて“情報技術セクター”に入ると思い込んでいました。ところが実際にはこれらは結構バラバラなんですね。
というわけで、今回はそもそも米国株にはどんなセクターがあって、どんな銘柄が割り振られているのか?
またそのセクターは景気動向に影響を受けやすい景気敏感株セクターなのか?はたまた景気の影響は受けにくいディフェンシブ株セクターなのか?
さらにはそれぞれのセクターに属する銘柄群は値上り益(キャピタルゲイン)狙いの成長株系なのか、あるいは配当(インカム)狙いの割安株系なのか?キャラの違いも含めて探って行きましょう。
不定期連載、米国株徒然日誌⑤、”11のセクター分類を確認しよう!”スタートです。
- 米国株は11のセクターに分類!
- 11セクターを一挙解説!
- ①情報技術セクター Information Technology
- ②ヘルスケアセクター Health Care
- ③金融セクター Financials
- ④一般消費財セクター Consumer Discretionary
- ⑤通信サービスセクター Communication Services
- ⑥資本財セクター Industrials
- ⑦生活必需品セクター Consumer Staples
- ⑧エネルギーセクター Energy
- ⑨素材セクター Materials
- ⑩公共事業セクター Utilities
- ⑪不動産セクター Real Estate
- まとめ
米国株は11のセクターに分類!
米国には主としてニューヨーク証券取引所と、ナスダック取引所の2つがありますね。この2カ所の証券取引所に上場する企業は合わせて約6,000社以上に及ぶと言われます。
実はこれら6000社のすべての米国株が、次の11のセクターに割り振られています。
この11セクターを時価総額ごとの比率を見ると…
出所:S&Pダウジョーンズ指数
情報技術(約27.5%)がおよそ3割と最も大きなシェアを占めており、以下ヘルスケア(13.4%)、金融(12.8%)一般消費財(10.7%)、通信サービス(8.9%)と続いています。
これら11のセクターは、それぞれに景気動向の影響を受けやすい景気敏感セクター、景気動向の影響を受けにくいディフェンシブセクターに大まかに分類できます。
また、それぞれのセクターに属する銘柄群は、値上がり益を得やすい成長株(グロース株)か、あるいは配当益を得やすい割安株(バリュー株)なのか、といったキャラの違いも見えてきます。
11セクターを一挙解説!
それでは時価総額が大きい順に、11セクターを詳しくみていきましょう。
①情報技術セクター Information Technology
こちらのセクターは読んで字のごとく、ITサービスです。
アップルやマイクロソフト、エヌビディアなど、コンピューターや情報処理、半導体関連など、時価総額ランキングで上位を占めるハイテク企業がひしめく最先端セクターと言えます。
当然、景気敏感ではあるものの、独自の技術で成長していく典型的な成長株が多いのが特徴です。
〈代表的な銘柄〉
アップル(AAPL)
マイクロソフト(MSFT)
エヌビディア(NVDA)
セールスフォース(CRM)
アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)
IBM(IBM)
②ヘルスケアセクター Health Care
ヘルスケアセクターは、ある意味最も分かりやすい分野かもしれません。
医薬品、医療機器、医療保険など、人の命や健康にかかわる業種のため、業績が景気動向に影響されにくい代表的なディフェンシブセクターのひとつです。
新薬の開発を通じて大きく成長する可能性も高いほか、安定した配当益を期待できそうです。新型コロナのワクチンの開発でお世話になったファイザーなども当然ヘルスケアセクターです。
〈代表的な銘柄〉
ユナイテッドヘルス(UNH)
ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
アッヴィ(ABBV)
メルク(MRK)
イーライリリー(LLY)
ファイザー(PFE)
③金融セクター Financials
このセクターは、字のまんまですね。銀行から証券会社、保険会社、資産運用会社、投資会社、クレジットカード、消費者金融まで、金融サービス全般を提供する業種が分類されているセクターです。
現在のように金利上昇局面で業績が高まる傾向にあることから、典型的な景気敏感株のひとつです。
投資の神様、ウォーレン・バフェットさん率いる投資会社のバークシャー・ハサウェイはこのセクターの代表銘柄のひとつです。
〈代表的な銘柄〉
バークシャー・ハサウェイ(BRK.B)
JPモルガン・チェース(JPM)
VISA(V)
マスターカード(MA)
バンク・オブ・アメリカ(BAC)
ゴールドマンサックス(GS)
ブラックロック(BLK)
④一般消費財セクター Consumer Discretionary
一般消費財セクターは、要するに個人や家庭で使う商品やサービスを提供する業種で構成されています。ただし生活必需品は除くといった意味合いがあり、どちらかというと高額所得者向けの商品やサービスを提供する企業も多い特製特性があり、景気敏感セクターに位置づけられます。
もっともその分野は百貨店、専門店、インターネット通販など小売全般から、ホテル、レストラン、レジャー、娯楽、自動車製造、住宅製造などまで幅広くカバーされています。
アマゾン、テスラ、マクドナルド、ナイキ、ナイキ、スターバックスといった日本でもよく知られているメージャー企業が多いので、事業内容はわかりやすいでしょう。
〈代表的な銘柄〉
アマゾン(AMZN)
テスラ(TSLA)
ホームデポ(HD)
ナイキ(NKE)
マクドナルド(MCD)
スターバックス(SBUX)
ブッキング・ホールディングス(BKNG)
⑤通信サービスセクター Communication Services
このカテゴリーは通信サービスとまとめられてはいますが、英語ではコミュニケーションサービスとなっている通り、通信事業にとどまらず映画・娯楽から、音楽、テレビ、広告、出版などのコンテンツ事業までかなり幅広い分野をカバーしています。
検索サイトのグーグルの親会社のアルファベットやSNSのメタ(旧フェイスブック)、動画配信のネットフリックス、映画・娯楽のウォルト・ディズニーもこのカテゴリーに位置付けられています。
ベライゾンやA&Tといった通信事業は景気に影響を受けないディフェンシブ銘柄である一方、それ以外は贅沢品が多いことからいわゆる景気敏感株で、成長株も豊富です。
〈代表的な銘柄〉
メタ(META)
アルファベット クラスC(GOOG)
ベライゾン(VZ)
Tモバイル(TMUS)
ウォルト・ディズニー(DIS)
ネットフリックス(NFLX)
AT&T(T)
⑥資本財セクター Industrials
航空、宇宙、軍需、鉄道、陸運、海運、建設などに関わる資材や設備を提供する業種が部類されています。一般消費財とは反対にBtoBがメインです。
最近はレイセオンやハネウェル、ボーイング、ロッキードといった軍需産業がけん引しているセクターとも言えます。
もっとも景気動向の影響を受ける典型的な景気敏感セクターで、比較的安定したリターンを出し続けています。
〈代表的な銘柄〉
レイセオン・テクノロジーズ(RTX)
ハネウェル(HON)
ボ-イング(BA)
キャタピラー(CAT)
ロッキード・マーチン(LMT)
ゼネラル・エレクトリック(GE)
スリー・エム(MMM)
⑦生活必需品セクター Consumer Staples
主として食品や飲料水、日用品を製造・販売する業種で構成されています。タバコやお酒もこのセクターに入ります。
生活に不可欠な商品を扱うため、景気動向には影響されづらいディフェンシブセクターに位置付けられています。
高配当な銘柄が多く、インカムゲイン狙いの投資家に人気の高いセクターでもあります。
〈代表的な銘柄〉
プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
ペプシコ(PEP)
コカ・コーラ(KO)
コストコ(COST)
ウォルマート(WMT)
フィリップモリス(PM)
⑧エネルギーセクター Energy
ズバリ石油・ガスに関連するビジネスにまつわる業種で構成されているセクターです。ここには2大石油メジャーのエクソン・モービルとシェブロンが入っていますが、それ以外はあまり日本人にはなじみの薄い企業ばかりかもしれません。
石油の価格動向に業績が大きく左右される景気敏感セクターで、必要不可欠なサービスながら業績は比較的不安定です。とはいえ高配当銘柄が多いのが魅力で、人気があります。
〈代表的な銘柄〉
エクソン・モービル(XOM)
シェブロン(CVX)
マラソン・ペトロリアム(MPC)
シュルンベルジェ(SLB)
⑨素材セクター Materials
このセクターは金属、鉄鉱石、木材、ガス、化学材料など原材料の探査、開発、加工に携わる企業で構成されています。
一般消費者がふれることのない、典型的なBtoB企業群で馴染みは薄い企業が多いのが特徴ですが、好況時には業績が高まる景気敏感セクターです。
ちなみに日本人には知られていませんが、下記のリンデグループは産業ガスの世界最大手企業、エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズも同じく産業用ガスがメインの企業です。
〈代表的な銘柄〉
リンデグループ(LIN)
エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルズ(APD)
ダウ(DOW)
デュポン(DD)
⑩公共事業セクター Utilities
電力・水道・天然ガス、ダム、再生可能エネルギーなど、生活インフラにまつわるサービスを提供する企業で構成されています。
生活必需品セクター同様、日々の生活に欠かせない事業分野のため、景気動向に左右されることのない典型的なディフェンシブセクターです。
むしろ景気後退期には景気敏感セクターの銘柄からの乗り換えの受け皿になりやすいのもこのセクターと言えます。
また、安定した株価推移のもとで高配当を期待できる銘柄が多いのも魅力。逆に言えば短期的な成長性には乏しいかもしれません。
ちなみに下記の代表的銘柄に上げたネクステラ・エナジーとデユーク・エナジーはいずれも米国最大規模の電力事業者。ネクステラ・エナジーは再生可能エネルギーでも米国最大手です。
〈代表的な銘柄〉
ネクステラ・エナジー(NEE)
デユーク・エナジー(DUK)
サザン・カンパニー(SO)
⑪不動産セクター Real Estate
このセクターは、不動産投資信託から、不動産の開発、管理、運営までを行う企業群で構成されています。景気動向に左右されやすい景気敏感デクターです。
景気以外にも金利、物価、株価など多く外的要因に影響を受けやすいのが特徴ですが、長期的には安定した収益を生み出しやすい銘柄群と言えます。
ちなみに下記の代表企業に並べたプロロジスは世界各国で運輸倉庫を運営する企業、アメリカン・タワーは無線通信インフラを手がける企業、エクイニクスは世界最大のデーターセンターを手がける企業です。いずれにしても日本人にはなじみの薄い企業ばかりです。
〈代表的な銘柄〉
プロロジス(PLD)
アメリカン・タワー(AMT)
エクイニクス(EQIX)
まとめ
さて、いかがだったでしょうか?11のセクターを駆け足で巡って来ました。
みなさんはどのセクターの銘柄群と相性がよさそうか、何となく見えてきましたか?
私のこれまでの経験では大方の人が、主に値上がり益(キャピタルゲイン)を狙って投資をする成長株(グロース)派と、主として配当益(インカムゲイン)を狙って投資をする割安株(ヴァリュー)派に分かれるようです。
ちなみに筆者自身はメタ以外のGAFAMをはじめ半導体のエヌビディア、電気自動車のテスラを加えたマグニフィセント・セブンをほぼすべて保有しているので典型的な成長株投資家です。
こんなふうに、各セクターの特性を知ることで、投資家としての性質も見えてくるのが面白いですね。
- ヒロミン
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