- 米国株・新規参入組をゆる~く検証!~auカブコム証券&松井証券~
- 2023年08月20日
大手ネット証券の一角、auカブコム証券と松井証券が米国株投資のサービスを開始して早くも1年半以上が経ちましたね。
ご存じの通りauカブコム証券は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のインターネット専業の証券会社。一方松井証券は日本のインターネット証券のまさに草分け的な存在です。
そこで気になるのが両社の米国株取引のサービスの実力がどこまで進化しているのか?していないのか?
とくに“米国株をこれから始める初心者”にとっての使い勝手はどうか?先行するマネックス証券、SBI証券、楽天証券とのスペックの比較も交えながら、ゆる~く検証してみましょう。
手数料水準はどうなの?
米国株取引に必要となる手数料には大きく2つあります。それは売買手数料と為替手数料です。
①売買手数料
2つの米国株取引コストのうち、ウエイトが大きいのがこの売買手数料。
auカブコム証券と松井証券の米国株の販売手数料は、いずれも約定代金の0.495%(税込)と同水準でした。また上限手数料が22米ドル(税込)に設定されているところも同じです。
これは先行するマネックス証券、SBI証券、楽天証券ともまったく同じですので、業界最小水準と言えます。
ではこの約定代金の0.495%(税込)という売買手数料はどのくらいの水準なのか?感覚的にわかるように具体例で見てみましょう。
例えば2023年7月31日にアップル株【AAPL】を1株買ったとしたら…
〈条件〉
この日のアップルの株価(終値):196.45ドル
この日のドル/円の為替レート(終値):142円32銭
すると…
株価196.45ドル × 1株 × 為替レート142円32銭 ≒27,958円(小数点以下切り捨て)
約定代金:2万7,958円
約定代金27,958円 ×販売手数料 0.00495(0.495%)≒ 138円(小数点以下切り捨て)
販売手数料:138円
ちなみに同じ日のアップルを50株買ったとしたら…
株価196.45ドル × 50株 ×為替レート 142円32銭 ≒1,397,938円(小数点以下切り捨て)
約定代金:139万7,938円
約定代金1,397,938円 × 販売手数料0.00495(0.495%)≒ 6,919円(小数点以下切り捨て)となるはずですが、上限手数料が22ドル(税込)に設定されているため、実際には…
上限手数料22ドル(税込) × 142.32銭 ≒ 3,131円で、
販売手数料:3,131円 で済みます。
②為替手数料
国内株と違って外国株を売買する際にはほぼかかるのがこの為替手数料です。
この為替手数料についてはauカブコム証券が片道20銭、松井証券が25銭です。これは実際の為替レートに上乗せされて提示される手数料で、auカブコム証券の方が松井証券よりも5銭だけ有利に設定されています。
ちなみに先行する大手3社ではマネックス証券がなんと片道0円(ただしドル買付時のみ)、SBI証券と楽天証券が松井証券と同じ片道25銭です。
というわけで、為替手数料についてはこの5社の中ではマネックス証券が1位、2位がauカブコム証券となりました。
取扱銘柄数やいかに?
取扱銘柄数については、各社バラバラです。
下記が各社の釣扱銘柄の一覧です(2023年7月時点)。
個別銘柄数でいうとauカブコム証券が約1,586銘柄、松井証券が約2,219銘柄です。これはサービス開始時点に比べると随分と増えたなと感じますが、それでも先行する大手3社はいずれも4,000銘柄を優に超えており、圧倒的な差はまだあります。
もっとももしもあなたがこれから米国株を始めてみようという初心者であれば、全く問題ないラインナップと言えそうです。
アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット(グーグルの親会社)、テスラ、メタ(旧フェイスブック)、ウォルマート、JPモルガン・チェース、ビザ、マスターカード、エクソン・モービル、アリババ、コカコーラ、ウォルト・ディズニー、マクドナルド、ナイキ、ネットフリックス、キャタピラー、ボーイング、スターバックなど、誰もが知っているメジャーな企業銘柄はすべてカバーしているからです。
決済方式はどの通貨?
意外に気をつけたいのがこの決済方式です。実は米国株を取引するには2種類の決済方式があります。
ひとつはあらかじめ自分でドルを準備(購入)してから、米国株を買い付けるドル決済。
もうひとつは円のままで米国株を買い付ける円決済です。
こちらは証券会社があなたに代わってドルを購入して購入してもらえる決済方式です。
円決済は自分でドルを準備しなくていいので手間は省けますが、その分、取引ごとに為替手数料が発生するほか、為替レートは取引時と同じタイミングのため、割高になりがちです。
一方ドル決済なら、あらかじめなるべき円高時の良い条件でドルを調達しておけば、いざ米国株を購入する際に有利に買付られる可能性が高くなります。
しかも決済ごとに為替手数料がかかることもないので効率的です。
このため一般的にはドル決済がオススメとされることが多いのですが、こればかりはその人の好みです。
そのへんについてはauカブコム証券と松井証券も、スタート時点では円決済しか選べず、ウイークポイントとなっていましたが現在ではどちらも選べるようになっています。
というわけで決済方式については、現在は大手ネット証券3社を含め同等となっています。良かった良かった。
その他の注目点は?
株価情報についてかつてはほとんどのネット証券会社が無料のままではディレイ情報なのが普通でした。
そうしたなか松井証券だけは、サービス開始時点では米国株口座を開設しさえすれば無料でリアルタイムの株価情報を閲覧できるということで大きなアドバンテージでした。
ところが現在ではマネックス証券を除く残り4社がすべて無料でリアルタイム情報を閲覧できるように改良されています。このあたりは随分と便利になったものです。
また注文方法については、初心者であれば基本的な「成行」と「指値」さえ揃っていればとりあえず何の問題もないと思いますが、auカブコム証券には、「逆指値」「Uターン注文」「トレーリングストップ」といった高度な注文方法も充実しています。
このあたりはいずれ重宝するかもしれません。
ただし米国株の一般NISA対応については今のところauカブコム証券も松井証券も対応していません。
これについては先行する大手ネット証券3社は、米国株も一般NISAに対応しています。
もっともこれについても米国株の初心者であれば、つみたてNISAを選択した方がいいのではと思われるので、とくには必要ないかなとも個人的には考えます。ま、こちらも2024年から始まる新NISAに合わせていずれは対応するのかもしれません。
まとめ
さていかがだったでしょうか? 米国株新規参入組のauカブコム証券と松井証券の米国株取引サービスの実力――。
もはや大手ネット証券3社に比べても遜色のないところまで進化していたんだな、というのが正直な感想です。とくに初心者にとってといった視点で検証すると、必要十分ではないかと個人的には感じました。
しいて言うなら、2024年から始まる新NISAに向けては米国株の対応をスタートさせてほしいところです。
とはいえすでにauカブコム証券や松井証券の証券口座に慣れている人はもちろん、そうでない人にとってもこれから米国株を始める人にとっては安心して始められる有意義な口座だと思います。
ぜひとも良い米国株ライフをを…
- ヒロミン
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