- DeepSeekショックで明暗!? AI関連株ランキング~米国株 徒然日誌㉒
- 2025年02月11日

こんにちは!米国ハイテク株投資家のヒロミンです。いやあ、米国ハイテク株界隈、今年も新年1月から大きなショックに見舞われることになりましたね。
そうです。中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)が米国勢のAI企業と同等、あるいはそれ以上の生成AIモデルを低コスト(10分の1未満)で開発したと公表した、いわゆるDeepSeekショックのことです。
結果、米国主導のこれまでのAIモデルの優位性はぐらぐらと揺らぎ、AI銘柄の代表格であるエヌビディアの株価が1日で17%下落、時価総額5,890億ドルが失われなど、米国株市場全体に大きな衝撃を与えました。
あれから早2週間、その後米国のAI関連銘柄はどうなったのか?今回はその点を検証してみましょう。
不定期連載、米国株 徒然日誌㉒ ”DeepSeekショックで明暗!?AI関連株ランキング”と題してお届けします。
騒ぎは徐々に沈静化!?
今回はDeepSeekショックが始まったとされる、1月27日(月)の前営業日1月24日(金)を起点に、その後の2週間(2025.1.24~2.7)をトレースしてみます。
まずは同期間の主要株価指数も騰落率から… ▼はマイナスを現しています。

こうして見るとDeepSeekショックで受けたダメージからは、まだまだ回復していないものの、ずいぶんと戻してきており、少しずつ沈静化してきているのかな、といった印象です。
エヌビディアも組み入れられているナスダック100のチャートにもそんな傾向がよく現れています。
(ナスダック100=過去1カ月)

直撃を受けた電力株!
続いて個別ハイテク株、それもAI関連株にしぼってランキングしてみましょう。まずは下落率順のランキングです。Ta-da!

いかがでしょう?個別に見るとDeepSeekショックの後遺症はまだまだかなり残っていますね。
とくに目立つのが、生成AIブームの興隆ともに需要を大きく伸ばしてきた電力株の落ち込みです。
1位のヴィストラは昨年(2024年)1年間で株価が3.5倍にも伸びた銘柄です。また3位のコンステレーション・エナジーも株価が同2倍弱も成長した、いずれも電力銘柄です。
これらはDeepSeekショックの影響をダイレクトに受けて、株価が急落した好例です。
(ヴィストラ=過去1年)

マイナス9%とずいぶん戻してきてはいるものの、エヌビディアもまだまだ回復途上です。
(エヌビディア=過去1年)

DeepSeekはどうやらエヌビディアの一世代前の半導体H800を使っていたようで、それで米国勢と同等もしくはそれ以上の性能を発揮したとなればやはり脅威です。
もっとも現在ではこのH800でさえ、中国への輸出が禁止されています。
さらに米国勢のトップランナー、オープンAIに出資しているAIムーブメントの本家本丸マイクロソフトも当然、痛手を受けています。そりゃそうでしょう。
そしてDeepSeekショックのまさに直前、孫さん率いるSBG、アルトマン率いるオープンAI、そしてマイクロソフトらとともに4年間で最大5,000億ドルのAI大規模投資計画スターゲイトを打ち上げたオラクルの株価もこの通り大幅に下落しています。
このタイミングでDeepSeekショックが勃発したのも決して偶然ではないでしょう。
AI利用側には追い風!
ではDeepSeekショックでAI関連株は全滅だったのか?というと実はそうではありません。
今度はDeepSeekショックで上昇したAI関連株のランキングを見てみましょう。Ta-da!

DeepSeekショックで一旦は下げらものの、その後大きく反発しているAI関連株もいくつともありました。
その代表格がビックデータ分析のパランティアです。これこそDeepSeekショックで直後に4.5%株価を下げたものの、翌日には早くも反発、その後株価は右肩上りに上昇し、わずか2週間で40%を上回る上昇を見せました。
(パランティア=過去1年)

このパランティアの場合、本業のAIを使ったビックデータ分析で他を圧倒する技術を確立しているわけですから、AI技術をより低コストで利用できるなら万々歳ということです。
マーク・ザッカーバーグ率いるメタも同様です。
フェイスブックやインスタグラム、スレッズといったSNSの拡大や広告収入の増加にAIを有効活用しているメタにとってはAIコストの低減は追い風です。
それどころか、DeepSeekが使用しているAIモデルはは、そもそもメタが開発したオープンソースです。要するにメタはAIの分野でもリードしつつあるというわけです。
(メタ=過去1年)

メタの株価はチャートでみても、このように綺麗に右肩上がりです。
またAI技術においては完全に遅れをとっているアップルにとっても、AI技術の利用コストが下がることは嬉しい限りでしょう。
まとめ
さて、”DeepSeekショックで明暗!?AI関連株ランキング~米国株 徒然日誌㉒”。いかがだったでしょうか?
結局のところ中国の新興企業DeepSeekについては、まだまだわからない点も多く、これからもしばらくは混乱が続きそうです。
一説にはオープンAIのデータを盗んだのではないか?といった疑いや、開発コストが10分の1未満というのは計算の仕方次第で流石に大げさといった見方も出てきています。
しかし、いずれにしてもAI技術を開発する側とそれを有効活用して新たなサービスに結びつける側とでは、違った未来がありそうなこともDeepSeekショックを機にわかってきました。
DeepSeekショックで下落した今が絶好の買い場なのか?あるいは逆に上昇した銘柄こそ買いなのか売りなのか?すべてはみなさんの判断次第というわけです。
DeepSeek問題については、これからも追いかけていきたいと思います。
- ヒロミン
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